第4回全日本ジャージー共進会


ジャージー審査報告


 ご承知のとおり、わが国にジャージー種が本格的に導入されたのは、第2次大戦後のことです。国民の食糧を増産するため、酪農振興法にもとづき、昭和28年度から5年間かけて、オーストラリアのほかニュージーランド、アメリカより約1万3千頭余りが全国十数カ所の集約酪農地域に導入されたのがその始まりといえます。
 その後、紆余曲折があったものの、近年ジャージーの牛乳・乳製品は地域特産物や差別化商品としての地位を固めているものと考えられます。さらに、ジャージーは粗飼料の利用性が高く、高原傾斜地帯の飼養に適しているほか、耐寒耐暑性にまさるなど、いわゆる環境感作に強い品種といえます。このジャージーの特性を生かした適地適種の酪農経営は、今後のわが国酪農の安定的な発展に大きく寄与するものと確信いたします。
 今回の全共には全国12道県から60頭の出品があり、我が国の審査標準に準拠して厳正な審査を行いました。以下、審査結果について、その概要を申し上げます。

<未経産牛>

 未経産牛は、12か月以上24か月未満の月齢の牛25頭を2部に分けて審査しました。
 この部門は総体的に極めて発育がよく、品位と資質にすぐれ、生き生きとして活力に富むものが多くみられました。また、体各部のバランスがよく、移行が滑らかで、肋張りが良く、中躯は充分な伸びと強さを示し、尻の形状もおおむね好ましいものでした。
 しかしながら、上位と下位の差があったほか、背線のゆるいもの、肢蹄の弱いものが散見されました。
 今後は、さらに飼養管理の改善を図り、その牛がもつ素質を十分引き出すような努力を期待したいと思います。
 次に、未経産各部の上位入賞牛について短評を申し上げます。

第1部

 未経産の準名誉賞並びに優等賞1席の112号は、16か月齢で発育がよく、からだ各部が充実し、品位・資質ともに良好で、乳用牛の特質に富み、移行が滑らかであり、さらに尻の構造がすぐれた牛でした。また、後肢は飛節が乾燥して骨質が良く、歩様も確実でした。
 優等賞2席の104号は、13か月齢で極めて乳用牛の特質に富み、移行の滑らかな若牛でしたが、前胸がやや狭いことが惜しまれました。
第2部

 未経産の名誉賞並びに優等賞1席の202号は、19か月齢で、からだ各部が充実して移行がよく、肋間が広く、肋が長く、尻の構造にすぐれた牛でした。また、乳用性がすぐれ、後肢の骨質も良く、歩様も確実でした。
 優等賞2席の203号は、19か月齢で、からだ各部の移行がよく、乳用牛の特質に富んだ若牛でしたが、やや後肢に弱さがみられたことが惜しまれました。
<経産牛>

 経産牛は、3歳未満と3歳以上の2部に分けて35頭を審査しました。
 この部門は総じて品位と資質にすぐれ、輪郭鮮明で、乳用牛の特質に富むものが多くみられました。また、乳房については、後乳房が高く広く付着し、満足できるものが多く出品されましたが、前乳房の付着が弱いもの、乳房底面の深いものや、乳頭の配置と形状に改良の余地のあるものが散見されました。
 今後、搾乳における労働の効率性を高めるためには、機能的な乳房、すなわち、付着の強い前乳房と、高く広い後乳房、さらに強い懸垂じん帯が要求されるものと考えられます。
 次に、経産各部の上位入賞牛について短評を申し上げます。

第3部

 このたびの共進会全体の最高位賞、経産の名誉賞並びに優等賞1席の314号は、2歳11か月齢で、分娩後3か月を経た2産目の牛でした。からだ各部が充実し、移行が極めて滑らかで、肋の開張がよく、後肢の骨質がよく、歩様も確実でした。さらに、乳房に関しては、前乳房は伸びがあり、付着が強く、後乳房も付着が高く、幅があり、中央堤靱帯も強いことから、この部のベストアダーとしました。
 優等賞2席の313号は、2歳10か月齢で、分娩後2か月を経た初産牛でした。品位と資質がすぐれ、極めてスタイリッシュで、乳用性に富んだ初産牛でした。また、後乳房の付着が高く、適度の幅があり、中央堤靱帯の強い、質のよい乳房を備えておりました。

第4部

 経産の準名誉賞並びに優等賞1席の418号は、5歳4か月齢で、分娩後4か月を経た4産目の牛でした。からだ各部が充実し、バランスがよく、肋が長く、肋張りがよく、極めて乳用性に富んでおりました。また、後乳房の幅があり、乳房の質も極めてすぐれておりました。
 優等賞2席の405号は、3歳8か月齢で、分娩後1か月を経た3産目の牛でした。からだ各部の移行が滑らかで、品位と資質がすぐれ、乳用性に富んでおりました。また、前乳房の付着が強く、後乳房も高く、幅のある乳房を備えていたことから、この部のベストアダーとしました。

 以上、審査結果の概要をご報告申し上げましたが、我が国の酪農の安定的な発展を図るためには、泌乳能力を向上させるとともに、良質な生乳の確保が重要であります。
 今回この共進会に寄せられました関係各位の熱意が、今後も我が国乳牛改良の一層の進展に注がれることを祈念してやみません。
 最後に、円滑な審査にご協力いただきました出品者、出品委員を始め、関係各位、並びに栃木県実行委員会に対し、心から厚くお礼申し上げます。

                  平成17年11月6日
審査委員長
独立行政法人家畜改良センター
理 事 長  木 下 良 智
 
(社団法人)日本ホルスタイン登録協会
The Holstein Cattle Association of Japan