令和03年03月20日

ホ種登録事業110年(その2)

牛群検定で始まった50年代の改良

血統、能力、体型併せて遺伝評価値公表へ

 昭和50年代から平成初期にかけては、牛群検定の実施とともに受精卵移植生産牛の登録や牛群審査開始、さらに後代検定による国内の種雄牛遺伝評価が公表される等、より科学に基づくホルスタイン改良の手法が整い始めた時期である。
ET生産牛や赤白斑牛登録
 昭和50年2月には、家畜改良事業団がわが国の乳牛改良上で極めて重要な事業である牛群検定をスタートした。日ホ協では牛群検定で得られた検定記録を登録に取り入れることとし、その累計記録を生涯検定成績として選奨した。それまでの検定方法は毎日記帳と定期立会によるA、B検定法と毎月立会のC検定であったが、毎日計量の手間や料金面を比べても、牛群検定記録の登録への結び付けは簡便でより有益なものとなった。一方、53年には血統登録頭数が年間20万頭の大台に乗った。また、同年には受精卵移植による生産牛の登録を開始したほか、血統登録の毛色条件でそれまで認めていなかった雌牛の赤白斑(レッド)や異常斑紋(オーシー)を登録上認めることにした。そして3年後に開催された第7回群馬全共では、北海道の楠木牧場が出品した赤白斑のクリスタンが見事に経産牛名誉賞の座に輝いた。また、群馬全共ではわが国初のホルスタイン種雄・雌牛の標準体型像と絵が披露され話題になった。

第7回全共では北海道・楠木牧場出品の赤白斑牛が
経産名誉賞に輝いた(昭56、群馬県前橋市)
個体から群へ 牛群審査開始
 この時期における登録事業の大きな変革として、昭和57年からの牛群審査開始が挙げられる。50年代後半には乳牛飼養頭数が200万頭を超え、1戸あたり飼養頭数も20頭以上になり、飼養規模の拡大が顕著になってきた。日ホ協では、牛群検定の普及と相俟って体型審査に関しても「個体から牛群で改良する時代」を目標に掲げ、特に北米における牛群審査システムを研究した末、57年秋から牛群審査の試験実施をスタートし、59年からは全国実施に踏み切った。この年の審査実施頭数は5万頭を超え前年の1.7倍の伸びを示した。同じ年、国の種雄牛後代検定事業は、それまで都道府県の畜産試験場等で行われていたステーション検定方式から牛群検定記録を利用したフィールド検定方式に移行した。血統登録雌牛頭数は通算で400万頭に達し、北海道では国内初の乳量2万キロ突破牛が誕生した。
種雄牛評価と体型調査開始
 昭和59年からの種雄牛後代検定事業は牛群検定農家への調整交配、娘牛の生産、育成保留、授精、分娩を経て、63年には候補種雄牛の娘牛たちの初産検定が始まった。日ホ協では後代検定事業の一部委託を受けて候補種雄牛の初産娘牛並びに同期牛の体型調査を開始した。これ以降、日ホ協審査委員と各都府県の支部・承認団体担当者が牛群検定農家を訪問し、後検材料娘牛と同期牛の体型調査を継続的に実施し、今日まで体型データの収集に努めてきた。60年代は高等登録の廃止と輸入精液・受精卵による生産牛の登録を開始し、体型審査では線形評価法を採用した。全共関係では、60年の第8回全共が岩手県滝沢村の岩手県産業文化センターで屋内初の全共開催となった。岩手県が自県産牛の出品で好成績を収めたことは大きな成果であり、当県は元よりその後の都府県の体型改良にも好影響を与えた。
平成初期、熊本 千葉で全共盛況
 平成時代の幕開け、元年1月には血統登録雌牛通算500万頭を達成した。茨城県の牛で、血統を17代遡ると明治45年に登録されたオランダからの輸入雌牛に繋がる。また、4年には鹿児島県の牛が血統登録通算600万頭目となり、16世紀半ばにポルトガル人による鉄砲伝来の際に黒白斑の乳牛が種子島に上陸したという史実も伺った。平成2年に熊本県で九州初となる第9回全共が開催された。この全共では前回の岩手全共に引き続いて北海道の植田牧場出品牛が経産名誉賞の快挙を成し遂げた。また、7年に千葉市で開催された第10回全共では過去最多の84万人が来場し、首都圏での一般市民向けイベントとしても大成功を収めた。体型審査では、33年ぶりに審査標準を大幅改正した。これは世界ホルスタインフリージアン連盟からの勧告を受けて、審査標準の4大区分から機能的に重要な「肢蹄」を独立させ、「乳器」と合わせて配点を重視したものだった。また、審査委員が現場でデータ入力できるハンディコンピューターを導入し、さらに10年からは携帯用プリンターを持参して、現場で審査結果の打出しと情報還元の充実と審査の効率化を実現した。7年にはホルスタイン種雌牛の標準発育値を公表している。
NTPの開発と世界会議開催
 平成元年には初の種雄牛国内統一評価となる「乳用種雄牛評価成績」が家畜改良センターから公表された。この年を境にして検定雌牛集団の遺伝的水準は年々改善されてきたことは言うまでもない。また、日ホ協が中心になって国内ホルスタイン種雄牛の遺伝的改良の指標となる総合指数(NTP)を開発した。
 8年9月には札幌市でアジア初となる第9回世界ホルスタインフリージアン会議を開催し、海外35か国・地域と国内から総勢800名が出席して盛況を博した。会議では「消費者市場に適合した育種改良」をメインテーマとし、酪農収益性を上げるための育種と登録情報の活用等21題の発表と、環境問題に関する特別講演やパネルディスカッション、世界連盟の総会、さらに恵庭市の福屋牧場や北海道ホルスタインナショナルショウの視察も行われた。世界会議は昭和39年にオランダで第1回が開催されて以来、アメリカやカナダ、ドイツ、英国等の酪農主要国でオリンピック年に開催されてきたが、日本大会での出席者数は未だに破られていない。
(7月20日号に続く)

世界35か国・地域から800名が出席した第9回世界
ホルスタインフリージアン会議(平8、札幌市)

令和03年03月20日

登録の現況

コロナ禍での1年


日ホ協 事業部
 令和2年度(令和3年1月末現在)の都府県の血統登録雌牛申込頭数は、3万5902頭と前年同期比2777頭、率にして7.2%の減少となりました。
 農林水産省発表の令和3年2月現在の「畜産・酪農をめぐる情勢」によると、飼養戸数は年率4%の減少傾向で推移していますが、乳用牛飼養頭数は平成30年度から増加しています。特に乳用牛の未経産牛の飼養頭数は、令和3年2月時点で51万頭と、昨年同時期と比べて約2万頭多くなっています。これは、性選別精液の利用が多くなったことで、乳用雌牛の生産が多くなってきたからなのではと推測されます。
 酪農情勢を取り巻く情勢は変わらず厳しい状況ですが、これからも性選別精液の利用や、ゲノミック評価の活用等により、効率的な乳用雌牛の生産を続けてほしいと思います。
 県別の血統登録をはじめ各種申込み頭数並びに会費納入件数を表1に示しました。
 血統登録申込については前述のとおり減少していますが、その中でも栃木県が123頭と都府県の中では一番増加し、次に新潟県が108頭、福井県90頭と増加となった一方で、前年度同期比で減少している県が多く見られます。新型コロナウイルスの関係で登録業務が十分にできなかったこと等、様々な要因があると思います。3月末までの登録申込状況を注視したいと思います。
 年次別の血統登録頭数と飼養頭数の推移を表2に示しました。全国乳牛飼養頭数・血統登録頭数は増加傾向でしたが、今年は飼養頭数に占める血統登録頭数の割合が減少しています。猛暑による繁殖への影響、乳用牛への黒毛和種精液の交配などが考えられます。この点についても3月末までの申込状況を注視したいと思います。
自動登録は7割に
 登録申込別でみると、自動登録の申込頭数は2万5237頭で血統登録全体の70.3%、前年同期比2.2%増加しました。自動登録推進をしていただいた関係者のご尽力に感謝申し上げます。北海道の血統登録における自動登録の割合は9割となっていますが、都府県の自動登録割合も8割、9割となっていくよう、引き続き自動登録の普及推進に努めてまいります。なお、2020年1月から12月までの自動登録農家戸数は1966戸となりました。
移動証明は増加 会費は減少
 移動証明申込件数について表1のとおり、現在2770頭で、前年同期比で229頭の増加となりました。特に秋田県で155頭、熊本県で112頭、栃木県で90頭と、前年同期比で大きく増加しました。
 自動登録は移動証明をする必要がありませんが、個別登録農家については所有者の変更に伴う移動証明申込が必要ですので、引き続きご理解ご協力のほどよろしくお願いします。
 最後に会費納入件数を表1に示しました。1月末現在で4701戸の方から会費を納入いただいておりますが、会員の減少等により前年同期比で203戸の減となりました。

表1 各種登録等申込み状況(R2.4.1〜R3.1.31)


表2 血統登録頭数と飼養頭数の推移

令和03年03月20日

2020年次 年型別記録牛

最高乳量牛

杉浦尚さん・マギー

 2020年1月〜12月末までに日ホ協で検定成績証明された中から、各年型別に乳量・乳脂量(2回搾乳)の全国トップ牛を調査し、表にとりまとめた。
 表中、全年型を通じての最高乳量牛であったのは帯広市の杉浦尚さんのYKT テツチエ マギーで、その記録は3.5年型365日で乳量2万5961s、乳脂量729s、乳脂率2.8%であった。
 牧場別では、鈴木進さん所有牛が最多の6部門、鈴木牧場全体で見ると計11部門でトップの成績をあげている。

表 年型別乳量・乳脂量トップ牛(2020年全国、2回搾乳)

令和03年03月20日

選挙について

 任期満了に伴う社員選挙(社員定数は全国58選挙区各1名で合計58名)を本年5月20日に実施します。詳細は4月30日に日ホ協のWebサイトで公示し、併せて各都道府県支部・承認団体において掲示します。



一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会
The Holstein Cattle Association of Japan