令和元年07月20日

血統登録申込頭数2年連続増頭

自動登録の進化/ロボット適合性指数の開発を

― 日本ホル協 第69回総会―
 一般社団法人日本ホルスタイン登録協会(前田勉会長)の第69回通常総会が、6月21日、東京都中野区の中野サンプラザで開催され、平成30年度事業報告並びに公益目的支出計画実施報告、令和元年度事業計画、同収支予算について報告が行われた。提出議案として平成30年度収支決算報告、令和元年度会費徴収方法、同役員報酬について審議が行われ、原案のとおり可決承認された。
会員各位の登録 改良意欲に敬意
 通常総会の開催にあたり、前田勉会長から挨拶が行われた。
 冒頭、昨年9月に開催した日本ホル協の創立70周年記念式典には多数の来賓をはじめ役員、社員、登録委員、各都府県支部・承認団体から130名を超える関係者の出席を得て、登録事業功労者の表彰や祝宴等、盛会であったことに対して感謝の意を述べた。
 酪農の現況に触れ、国内の酪農家戸数が毎年4%の割合で減少し、今や全国で1万5千戸を切ろうとしている。先日、日刊紙の1面トップに「酪農家 6割減、20年で1日3戸のペースで減少」の大見出しで、この20年間で約2万2千戸の酪農家が廃業し、生乳生産量でも128万トン、15%減少し、牛乳価格にも影響している。また、酪農家の休日は全国平均で年間17.7日、月に1〜2日しか休めず、労働時間も長いとも書かれていたことを挙げて、国民の多くに酪農の現状が少しでも分かってもらえたのではと言い添えた。
 また、昨年の乳牛飼養頭数は132万8千頭でこの20年間では約53万頭減少している。しかし、最近では乳用後継牛確保のための性選別精液利用の普及率は年々高まってきており、その生産雌子牛が年間登録頭数の3割以上を占めるまでになった。昨年度の血統登録申込頭数は全国で21万6千頭で2年連続の増頭となった。乳牛頭数が年々減少する中で、10年前の年間登録頭数よりも1万7千頭増えており、改めて、会員各位の登録や乳牛改良に対する意欲の高さに敬意を表した。
 令和元年度もより多くの乳用後継牛を登録に結びつけるため、安価で申込書不要の自動登録を推進し、強い近親交配の回避や遺伝病の発現防止、遺伝評価計算の基礎となる正しい血縁の構築と情報提供を行っていく。
 また、(公財)全国競馬・畜産振興会からの助成事業では、ホルスタイン未経産牛の標準発育値やSNP情報を活用して「体の大きさ」や「肢蹄」に関する指数を作成する。さらに、本年度から乳用牛群検定全国協議会からの委託を受け、搾乳ロボット適合性に関する体型データを収集して「ロボット適合性指数」の開発・検討を行う。
 最後に、来年10月末には初のブロック開催となる第15回全共九州・沖縄ブロック大会を宮崎県都城市で開催するにあたり、5年に1度の全国酪農家の最大の祭典に対する協力支援をお願いした。
血統登録 全国で4.6%増
 平成30年度事業実績では、会員数が都府県5223名、全国1万1635名で前年度から487名減少した。一方、血統登録申込では、全国21万6619頭の前年度対比104.6%の増加で都府県では前年度対比100.9%と2年連続増加した。
 審査成績証明申込は都府県で9464頭(前年度対比97.2%)、全国では2万4694頭(同94.7%)と減少した。検定成績証明申込が都府県で4252件(同97.9%)、全国では7万2998件(同98.1%)であった。また、SNP検査はLD(低密度)の申込が都府県754件、全国では4420件(同124.4%)となった。
30年度決算
 平成30年度収支決算では、登録事業からなる実施事業会計、ホルスタイン会館賃貸事業のその他会計、そして法人会計を合わせた経常収益額は表より13億8069万9327円、同じく経常費用額は13億5965万3971円で、税引き後の正味財産増減額は1492万356円の黒字となる旨が上程され、原案通り可決承認された。
令和元年度事業計画 血統登録20万4千頭を見込む
 血統登録では、自動登録を主体に一層の普及定着を図るとともに正確な登録を実施するために、現場における出生子牛と母牛の確認の徹底をお願いする。また、SNP検査や親子判定抜取調査における血縁のチェックと血統疑義牛への親子判定調査を強化する。
 血統登録や体型審査等の情報収集・管理を行い、Webサイトを利用して近交係数算出や系統譜をはじめ遺伝評価値の活用等、改良に関する各種情報の公開、機関誌等による情報提供を行う等、登録情報の内容充実に努める。スマートフォンでも検索閲覧できる「近交情報システムWeb」並びに「登録情報活用システム」を提供し、優良牛の選抜や交配種雄牛の選定に役立ててもらう。
 (公財)全国競馬・畜産振興会畜産振興事業による「乳用牛DNA情報による長命連産性向上事業」を実施し、未経産牛の体型測尺及び経産牛の歩様調査、SNPデータを収集して標準発育値を作成するほか、長命連産性の遺伝的指標となる諸指数を策定する。また、乳用牛群検定全国協議会から委託を受け、@後代検定に必要な初産検定中の材料娘牛とその同期牛の体型データの収集を行う。Aホルスタインの改良に必要な雄牛並びに雌牛選定のためのSNP検査を行う。B搾乳ロボットに関連した体型形質等のデータ収集を行い、搾乳ロボットへの適合性指数等の開発を行う。また、これらのデータや登録情報を基に、泌乳能力及び体型の遺伝評価に必要な血縁ファイルの作成等を行う。
 世界ホルスタイン・フリージアン連盟に加入し、関連会議に出席し主要国における最近の登録・改良状況をはじめゲノミック評価や近親交配、遺伝病、繁殖等に関する情報収集に努める。
 ホルスタイン会館の運営を通じて、登録事業の安定的な運営を図り、事業の継続性を高めていく。
 令和元年度収支予算については、血統登録申込が都府県で4万1580頭(前年度比99.2%)、全国では20万4580頭(同100.6%)とし、経常収益は13億5475万5千円を見込む。
全共来年に迫る 規則・衛生対策要領の順守を 
 初のブロック全共開催となる「第15回全日本ホルスタイン共進会九州・沖縄ブロック大会」が来年10月31日から3日間、宮崎県の都城地域家畜市場で開催されるにあたり、実行委員会との連携を密にして本格的な準備を進めていく。なお、参加都道府県におかれては、第15回全日本ホルスタイン共進会規則並びに出品衛生対策要領に順守した出品対策を講じられたい。


平成30年度 正味財産増減計算書内訳表

令和元年07月20日

来賓祝辞

通常総会開催に花

 
  日本ホルスタイン登録協会の第69回通常総会に来賓として臨席され、祝辞を述べられた方々とその概要は次のとおり。
バランスの良い改良を 農林水産省・伏見課長
 本年度は5年ごとの家畜改良増殖目標の見直しの年となっており、これまでの改良は、乳製品需要の高まりや国際化の進展に伴う競争力強化に対応するため、乳量を伸ばす方向で長年進められてきた。その結果として、我が国のホルスタイン種の能力は諸外国と比較して高水準となった。
 一方、近年、人口減少や高齢化などにより、我が国の農林水産業は大きな転換期を迎え、改良も、乳量だけではなく、繁殖性や、搾乳ロボットに適合した体型、アニマルウェルフェアへの配慮など、様々な酪農現場のニーズに応えたバランスの良い改良を進める必要が生じており、貴協会の役割は益々重要になっている。
 また、2020年には、初めての試みであるブロック開催による第15回全日本ホルスタイン共進会が宮崎県で開催される。新しいニーズに応える未来志向の共進会として、これからの改良の新たな方向性、力強い酪農の未来を示す契機となることを期待している。
 農林水産省としても、畜産クラスター事業による施設整備や機械導入、性判別精液の活用等による優良な乳用後継雌牛の確保のほか、搾乳ロボットや発情発見装置などを活用したスマート農業の推進を支援し、酪農の生産基盤の強化を進めていきたい。
「不退転の決意」で臨む (一社)家畜改良事業団・高橋理事
 今の高乳価に加えて副産物のF1産子が高値で販売できている情勢が今後も続くのかは甚だ疑問である。頭数が増頭へと生産回復の転換点が見えつつあるが、北海道の生産だけが増加しても根本的な解決にはならない。国産の乳牛乳製品を安定的に供給するためには、都府県における生産の回復は不可欠である。この情勢だからこそ、この先に向けて今やるべきことは、乳価が下がったとしても経営が成り立つ「低コスト経営」へ取り組みであり、「乳量の高い個体が病気や故障なく、順調に繁殖して長く搾れる牛づくり」である。この繁殖形質などの遺伝率の低い形質も評価できる技術がゲノミック(以下、G)技術である。平成25年から雌牛のG評価を開始され、補助事業等で普及拡大に努めているが、アメリカの検査機関にサンプルを送り、お金を払ってアメリカのゲノム評価成績を求める方が増えている。この状況を招いているのは、G成績の利便性や使い勝手に差があること、また、評価形質の少なさであると受け止めている。G評価成績を使い易い形で使えるように、関係機関に提案し「オールジャパン」として同じ方向を持った乳牛改良ができるよう、言わば「不退転の決意」でG評価の普及に取り組んでいく。
 また、もう一点。国が進める「スマート農業」を実践する柱の一つとなっている「全国版畜産クラウド」については、推進協議会を中心に、フィールドの各種情報を一元的に集約したネットワークサービスを国の指導の下で鋭意取り組んでいる。これによって、我が国の環境下での耐暑性など新たな形質のG評価の開発に繋がるはずだ。
安心して働ける環境作りを 
(一社)全国酪農協会・馬瀬口会長(中島常務理事代読)
 貴協会は、時代の変遷に合わせて、登録制度の改正や自動登録や各種登録・証明の推進などを行っている。その一方で牛群審査では、審査委員が現場に出向いて1頭1頭の審査と農家と膝を交えての指導や対話は、生産者にとって、乳牛改良や飼育管理改善の大きな支えにもなっている。
 さて、最近の酪農を巡る情勢については、4月に入り市乳類の値上げが実施され、消費動向が心配されたが、現在のところ売れ行きは堅調のようだ。国産牛乳・乳製品を買って頂けるように、引き続き努力を続けていきたい。また、畜案法の改正により、既存の酪農組合、県酪連、指定団体が発揮してきた「協同組合の力」がこれまで以上に問われることになる。いずれにしても、これまで築き上げてきた指定団体機能が崩れることのないように、特に生乳の安全安心を支えてきたこれまでの努力の成果に影響が起きないように、政府・国会に引き続き要請していきたい。
 本会としても、貴協会や関係団体とともに、家族型経営の酪農家が未来に向かって安心して働ける環境作りを努めていきたい。

令和元年07月20日

第15回全共

九州・沖縄ブロックまで



一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会
The Holstein Cattle Association of Japan