平成29年09月20日

都府県の近交係数の現状

 都府県におけるホルスタイン種雌牛の近交係数(図1)は、1990年代には年あたりの平均近交係数の上昇量は0.26%と急激な上昇が見られました。そこで当協会では「おじ・めい交配」に代表される近縁間の強度の近親交配を避けるように「おじ・めい交配」の近交係数である6.25%を避けるべき危険域と定め注意・喚起を行ってきました。その結果、2000年代に入ると強度の近親交配は減少し、平均近交係数の上昇は鈍化傾向を示してきました。
 一方、近年のアメリカやカナダの平均近交係数の上昇は日本の1990年代を彷彿とされる急激な上昇を示しています。世代間隔の短いヤングサイアーの利用により、次世代の更新が早くなっていることが急上昇の原因と分析されており、日本においてもヤングサイアーの利用増大に伴い、将来は北米と同様の上昇を示す可能性があり引き続き注意が必要です。
2016年生まれは6.49%
 途中経過の数字ではありますが、2016年生まれの都府県平均近交係数は、6.25%を大きく上回る6.49%と衝撃的な値になっています。近縁同士の強い近親交配を避け、実際に「おじ・めい交配」などは減少しているのにも関わらず、近交係数は上昇し続けています。その原因として近年は遺伝的能力の高い種雄牛の殆どが、同じ共通祖先を持っていることが挙げられます。血統登録証明書で確認出来るような近い世代に共通祖先が見つからなくても遠い世代では多くの共通祖先があり、小さい影響ながらも大量に蓄積されています。その結果、近交係数の上昇が続いています。これは遺伝的改良を進めていく上で避けられない課題です。
近交係数の急激な上昇を避け、ゆっくりと上昇させる
 近交係数の急激な上昇は体型の矮小、繁殖能力の低下などの近交退化の問題、近年発見された牛コレステロール代謝異常症などの悪性劣性遺伝子のホモ化による遺伝病症状の増加など様々な弊害をもたらします。
 しかし、闇雲に近交係数を下げれば良いと言うわけではありません。乳牛改良は泌乳形質や機能的な体型など、乳生産に有用な遺伝子を残して次世代に繋げていくことで達成されます。そのような有用な遺伝子を持つ、特定の優秀な血縁を利用して改良を続けていけば、近交係数の上昇は避けられないことです。問題なのは、近交係数の上昇ではなく、その速度です。先に述べた弊害も「急激な上昇」を前置きとしたものであり、近交係数が急激に上昇すると、近交退化や遺伝病の原因である遺伝子がホモ化して遺伝病などが発症しやすくなります。それを避けるためには、近交係数をゆっくり上昇させながら、悪性の遺伝子を排除することを心がける必要があります。
改良速度を低下させないことが重要
 従来から当協会では近交係数上昇を避けるために近交回避を勧めていましたが、遺伝的能力を高めるために近交係数が上昇することもやむを得ないと改めました。近交係数にとらわれるばかりに近交係数を下げるために能力の低い種雄牛を利用すると逆に改良速度を低下させてしまう可能性があります。これまでと反対のような説明ですが、具体例を上げて説明します。 乳量に注目しますと近交係数が1%上昇すると近交退化の影響で305日の乳量あたり28.5`低下します(表)。
 例えば、乳量の育種価が+500`の母牛に育種価+2,000`の種雄牛Aを交配した場合、その子牛の近交係数が6.25%となると仮定します。一方、同じ母牛に子牛の近交係数が3.13%と低くなる育種価+1,000`の種雄牛Bを交配した場合とを比較します。種雄牛Aは能力が高いが近交係数も高い、種雄牛Bは能力は劣るが近交回避に繋がります。子牛の期待される遺伝的能力は、次の式から計算できます。
 結果は図2のとおり、種雄牛Bを交配した場合、確かに近交係数を低くできますが、改良量は+161`と種雄牛Aを交配した場合の改良量+572`と比べてかなり低くなってしまいます。あまりにも近交係数ばかりに気を取られると改良に必要な種雄牛を見逃すことになりますので注意が必要です。
まとめ
 おじ・めい交配などの強い近親交配はこれまでと同様に避けるべきですが、もしも、交配によって生まれてくる子牛の近交係数が6%以上になるとしても、近交による退化量を上回るだけの遺伝的能力が期待できる種雄牛を交配することが重要です。
 当協会では「インターネットでの近交係数検索」や審査受検時に配布する「近交回避リスト」、そしてパソコンにインストールして利用できる「乳用牛群改良交配システム」等のサービスに加え、現在スマートフォンでの利用に特化した検索システムの開発を進めています。
 まずは血統登録を行い、血統情報を酪農経営に役立てて頂きたい。

平成29年09月20日

第1位「スタンリーエレガンス」

−2017-8月国内雌牛評価−
 8月22日に国内雌牛2017-8月遺伝評価値が公表され、今回は上位15位以内に新規が2頭入った。
1位「エレガンス」
 前回の公表13位から一気にトップに上り詰めた「スタンリー エレガンス」(静岡県・石川和博牧場)が都府県から初の1位に躍り出た。父「スタンリーカツプ」母方祖父「ゴールドウイン」の交配で、祖母は生涯検定(乳脂量)歴代2位の成績を保持する、エレガンス一族である。また、この姉牛「デニセスゴールド」は検定成績優秀牛(乳量)表彰10月検定5年型で表彰を受けており、優秀なファミリーである。成績は、NTP+3,773、乳量+1,670。 
2位「ミツチー」
 今回の2位は、「ミツチー ボルトン」(北海道・平野洋巳牧場)で、僅差で2位となった。乳量では「スタンリー エレガンス」を上回っている。父「ボルトン」母方祖父「ゴールドウイン」の交配で、アメリカからの受精卵導入による。また、この一族には、3位に入った、「ミツチー ドーブ」(妹牛)や、11位に入った「ミツチー チヤンプ」(娘牛)もおり、優秀なファミリーである。

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 平成29年09月20日

審査得点93点獲得 4代EX誕生

−岩手県・佐野茂樹さん−
 平成29年6月の岩手県前期牛群審査において、遠野市上郷町の佐野茂樹牧場の「プロスペリー アドベント ラツキー ダーハム」(1263417765、平22.7.22生、4産、父:KHW カイト アドベント RED ET)が高得点の(自家産)93点に評価された。
 本牛は前回の平成26年11月(5歳3月、3産)の体審で92点を獲得し、今回県内で7頭目の93点に格付けされるとともに、佐野牧場3頭目の93点の誕生となった。
 各部の配点は、体貌と骨格92点、肢蹄91点、乳用強健性94点、乳器93点(7月21日確認審査実施)。
 本牛は体高162pと大柄な牛であるが、前躯は充実し、また尻長と腰角幅は、審査標準における体高比0.410-0.415に合致し、長さと幅があり後躯の充実した骨格構造を持ち、乳用強健性に優れ、乳房は、前乳房の付着が極めて強く、後乳房の高さと幅もあり、乳頭配置も良好で、産次における乳房底面も高く、搾乳後の乳房バランスにも満足のいく容積形状に優れたものであった。
 また、本牛は能力も非凡なものを見せ、3乳期1,025日の乳量はM4万1,370s、乳脂量1,629s、乳蛋白量1,532sで今期も順調に泌乳を継続しており、能力と体型のコンビネーション並びに長命連産性に優れた牛である。
 なお、本牛は平成27年に開催された、第14回全日本ホルスタイン共進会北海道大会にも出場し、1等賞に入賞を果たしている。ちなみに3代の各生涯検定成績は次のとおり。
初代 ドリームランチ ラツキー アンナ 92点
7乳期合計(2,093日)M6万6,909s、F2,817s、P2,113s
2代 ドリームランチ  ラツキー スター 93点
8乳期合計(2,578日)M9万8,819s、F4,195s、P3,360s
3代 プロスペリー エルトン ラツキー ダスト 93点
4乳期合計(1,309日)M5万2,156s、F2,128s、P1,779s

「プロスペリー アドベント ラツキー ダーハム」(父:アドベント)平22.7.22生
岩手県 佐野 茂樹さん所有
 写真はデーリィマン社提供(平27.9月撮影)

平成29年08月20日

検定成績優秀牛

−都府県、平成29年8月証明分F偏差値−


一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会
The Holstein Cattle Association of Japan