平成29年09月20日

正しい血統登録を行うために

−平成29年度地区別登録委員研修会−
 日本ホル協(前田勉会長)では、都府県を6地区に分け、登録委員を対象にして毎年夏期に研修会を行っています。この研修会では、昨年に引き続き登録の原点である「正しい血統登録を行うために」と題し、なぜ登録が必要なのか、登録することのメリット、そして血統を間違えないための注意すべき点を、基本に立ち返り実例とともに解説しました。
登録は改良の基本
 酪農経営の安定を図るためには「生産性の向上による生産コストの低減」が求められます。これには乳用牛の飼養管理の改善と同時に、牛群の遺伝的な能力水準と斉一性を高めていくことが重要です。
 また、牛群改良を効率的に進めるには、血統情報、牛群検定、体型審査といった情報を統合し活用することが大切です。
登録のメリット
 ここで、登録することによってどのようなメリットがあるのかを挙げます。 
  1. 登録証明書によって父母、祖父母など血統が明確になるとともに、登録協会の登録簿に記載され、永久的に保管される。
  2. 遺伝的に優れた血統をより確実に残すことができる。
  3. 血統濃度(47〜100%)によって血統の純粋性の度合いが明示される。
  4. 強度の近親交配を回避できる。
  5. BLADやCVMなど遺伝的不良形質の発現を未然に防ぐことができる。
  6. 能力、体型等の付加情報によって個体販売が有利になる、などが挙げられます。
 登録は酪農経営にとって即効性のある改善向上手段ではありません。しかしながら、産乳能力の優れた血統を選別し、その系統を牛乳生産の主力として、将来の酪農経営の発展に繋げてゆく、そういった長期視点の根本となるのが登録といえます。したがって本牛の登録を行うだけではなく、後代の交配計画にも有効に活用することが大切なのです。
正しい血統登録のために
 血統登録を行っても、記録が正確でなければ改良の効果は上がりません。いかに優れた交配や選抜淘汰を行ったつもりでも、その恩恵を得ることはできません。
 当協会では、登録情報に矛盾がないか、登録申請時に抜き取り検査による親子判定を行ったり、SNP検査の際に検査牛の血縁関係についても調査しています。血縁矛盾が起こらないようにすることを理想として、できる限りゼロに近づける努力を日々行っています。
血縁矛盾が起こる事例
 過去の事例から、いつ、どのようなタイミングで血縁矛盾が起こるのかが分かってきました。登録関係者の方々には、血縁矛盾につながりやすい具体的な事例を挙げるので、登録申込みの際には、その内容が正しいものなのかを今一度確認していただくよう、ご協力をお願いします。
 血縁矛盾が起こらないようにするには、繁殖台帳への記録を正しく行うことが大切です。
 図1は、同じ時期に複数頭の人工授精を行った際に、それぞれの雌牛に授精した種雄牛を入れ違ってしまった例です。
 
図1
  図2は、授精した種雄牛を愛称で記録していたら、同じような名号の種雄牛がいたために間違った種雄牛を報告してしまった例です。種雄牛は、愛称の他に登録番号や略号も合わせて記録する習慣をつけるようにお願いします。
 
図2
  図3は、個体識別番号の拡大4桁のみで記録をしていたところ、飼養牛の中に同じ拡大4桁が2頭いたために、記録が入れ違ってしまった例です。耳標は農家ごとに連番で配布されていますが、導入牛などは拡大4桁が重複することがあります。記録の際には個体識別番号10桁で記録をするようにお願いします。

図3
 図4は、同じ時期に分娩が重なったため、母・子を相互に入れ違えて出生報告してしまったという例です。

図4
 図5は、耳標を装着しないまま授精を行ったため、どの牛に対する授精記録なのかが分らなくなってしまった例です。生まれた子牛には速やかに耳標を装着し、出生届は、個体識別番号など正しい情報を確認した上で行いましょう。また飼養中に耳標が脱落したときは、新たな番号の耳標は装着せず、耳標の再交付手続きを行うよう徹底していただきたい。

図5
 図6は、夜間など人が立ち会っていない間に複数の牛が分娩したため、親子関係が分からなくなってしまった例です。このような場合は、遺伝子型による親子判定を行うことが必要になります。分娩には必ず立ち会い、早産や生時体重が軽いなど、特別な分娩状況があった場合はメモをする習慣をつけるように注意をしてください。

図6

平成29年09月20日

「乳用牛DNAによる

長命連産性向上事業」

−歩様形質データを収集し長命連産性の調査研究−
 日本ホル協では、今年度から公益財団法人全国競馬・畜産振興会(JRL)の3年間の助成事業「乳用牛DNA情報による長命連産性向上事業」を実施することになりました。
事業の目的
 近年の酪農家戸数や乳用牛飼養頭数の減少に加え、地震や台風等自然災害の影響により生乳生産量の回復が遅れています。さらには自由貿易交渉の行方や指定団体制度改革など不安要素が多く、わが国の酪農生産基盤の弱体化が危惧されています。これまでにも関係機関の指導の下、酪農家は飼養管理や繁殖技術の改善に努力を傾注してきました。しかしながら、乳用牛の生産寿命の低迷や繁殖性の低下傾向は未だに継続し、さらなる改善の努力が必要と考えられます。
 また、繁殖性の改善によって後継牛不足を補い、生乳生産量を回復させるためには、乳用牛における長命連産性向上及び生涯乳量の増加が急務となっています。その対策として、体型の改良においては、育成期から初妊期間にかけて発育性に優れ、分娩後はあまり大型化せずに飼養管理しやすい中程度の体のサイズに選抜・改良するための手法を開発し、最新の育種技術であるDNA(SNP)情報も積極的に活用します。
 さらに、肢蹄は体型部位の中で乳器に次いで重要とされ、特に肢蹄の中でも歩様(跛行)と繁殖性及び長命連産性との関連性を指摘した研究報告があり、世界ホルスタインフリージアン連盟(世界42か国のホルスタイン登録団体が加盟)でも、各国に対して歩様のデータ収集と遺伝的評価を実施することを奨励しています。しかしながら、歩様の審査(データ収集)は、放し飼い牛舎(フリーストール・フリーバーン農家)に限定されるため、歩様を含む審査データは全体の約2割程度となっています。
 本事業では歩様を含む体型審査データの拡充に加え、DNA情報を活用して、繋ぎ飼い牛舎の雌牛でも間接的に歩様の遺伝評価ができる手法を開発し、併せて肢蹄を活用した長命連産性の向上に必要な改良手法の技術開発を調査研究します。
標準発育値の開発
 当協会審査委員等が3年間で毎年250頭の未経産牛を2〜4回で体型測尺調査しデータ収集します。測定形質は体高、尻長、腰角幅、坐骨幅、胸囲等です。そして、国及び都道府県の畜産試験機関の協力を得て乳用雌牛の体型測尺データを収集し、最終年度(平成31年度)には「未経産牛標準発育値」を開発します。
体のサイズ指数の開発
 未経産牛の「標準発育値」を踏まえ、体型審査データ及び最新技術であるDNA情報も活用し、体のサイズと長命連産性との関係を研究します。その結果に基づいて発育性が良く、中程度の体格を改良目標とした「体のサイズ指数」を開発します。
肢蹄指数の開発
 フリーストールやフリーバーンの放し飼い牛舎で初産牛の歩様を含む体型審査データの収集を3年間で約2万1千頭行います。また、その中から、SNP検査(低密度チップ)をランダムに約2,700頭実施します。そして、これらのデータ収集状況を踏まえながら、歩様等の肢蹄形質と長命連産性との遺伝的関係を研究することで、歩様ゲノミック育種価を推定する手法等を研究開発します。
 また、最終年度には、生産寿命及び長命連産性の改良を推進するための、「肢蹄指数」を新たに開発し、酪農現場で活用できるものを目指します。


PDF版

 平成29年09月20日

新人紹介

−総務課長兼経理課長 北島 聖二−
新たなステージ
 この度、9月1日付けで当協会職員として正式採用され、総務部総務課長及び経理課長に拝命されました北島聖二(きたじませいじ)と申します。出身は、明治34年に官営製鉄所として操業開始した八幡製鉄所で有名な鉄鋼業の街、福岡県北九州市です。東京での生活は、かれこれ19年経過いたしました。
 私は、平成7年4月に国家公務員として九州大学に採用となり、同大学医学部附属病院にて工事契約を始めとする経理業務を担当しました。平成10年4月に人事異動により上京し、文部科学省本省・専門学校運営を母体とする事業会社・私立大学・公益社団法人にて勤務し、総務・経理業務に携わってまいりました。
 以前の職場では、総務・経理職の一プレイヤーとして経験を積んだ後、管理職としてマネジメント業務など様々な経験をしてまいりました。総務・経理業務は企業のバックボーンであり、サポート的な業務になりますが、営業・広報系などの事業部門の業務活動を支えていく大変重要なポジションでもあります。これから、新たなステージとなる当協会にて、核となる当協会職員の登録・審査等の業務活動を支えていけるよう、これまで以上に日々、業務に邁進していく所存です。支部承認団体の方々・当協会職員・関係業者等とコミュニケーションを図り、当協会の更なる円滑な組織運営にも誠心誠意努力していきたいと考えています。
 当協会の血統登録事業は、乳用牛の遺伝的改良には必要不可欠な事業であり、これからの酪農経営の安定化にとって、その重要性は増すものと考えられます。今年度から長命連産に係る研究事業として、JRL助成事業もスタートいたします。当協会の業務活動は、ますます各方面から高く注目されるものと考えられます。これら当協会の業務活動に、総務・経理の立場として尽力していく所存です。
 今後とも何卒宜しくお願い致します。

社員補欠選挙のお知らせ
 今般、社員の辞任に伴い、社員補欠選挙を10月20日(金)に実施いたします。なお、この選挙実施に伴う詳細につきましては、来る9月29日(金)に、当協会のホームページで公示するとともに、当該選挙区の選挙管理事務所において掲示します。
今後の行事
◇第15全共実行委員会設立総会
 10月12日(木)宮崎観光ホテル
◇中間監査会
 10月20日(金)日ホ会議室
◇第288回理事会 
 11月22日(水)日ホ会議室
◇29年度社員会議並びに支部・承認団体登録事務担当者会議
[東日本地区]
 2月1日(木)事務担当者会議、2月2日(金)社員会議、東京都中野区、中野サンプラザホテル
[西日本地区]
 1月25日(木)事務担当者会議、26日(金)社員会議、福岡市、福岡朝日ビル
◇第289回理事会 
 3月23日(金)日ホ会議室
人事異動
(9月1日付)
◇渥美 正 総務部長兼調査部長[調査課長兼企画課長]
《総務部総務課長兼経理課長を解く》
◇北島聖二 総務部総務課長兼経理課長


一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会
The Holstein Cattle Association of Japan