平成29年01月20日

「ホルスタイン種は6.13%」

−近交係数とりまとめから−
 日本ホル協ではホルスタイン種の近親交配の現在の状況や推移をみるために、血統登録データを元にとりまとめたので紹介する。
近交係数は6%超え
 近交係数のとりまとめでは、図1によると、2016年生まれの近交係数は6.13%であることが分かる。00年生まれが4%を突破し、05年で5%と5年で1ポイント増加したが、6%を超えたのは15年で、丁度10年で1ポイントの増加となり、上昇も少し緩やかになってきた。この図で掲載しているカナダを見ると、12年には近交係数の危険域である6.25%を突破し、13年には6.40%に達し、15年生まれの近交係数は7.10%と非常に高い値となっている。日本とカナダの最近5年間を見てみると、カナダは年平均0.23ポイント増加しているのに対し、日本は0.1ポイントの増加に留まっている。カナダ・デーリィ・ネットワークではヤングサイアーの利用により、次世代の更新が早くなっていることが急上昇の原因と分析している。
3頭に1頭が近交危険域に
 図2は生年別近交係数6.25%以上の割合を示したものである。80年から90年までは増加はほとんど見られなかったが、だんだん増加傾向を示し、95年に5%を超えてから、増加も拍車がかかり、10%を超えたのが丁度00年。10年には20%を超え、年1ポイントの増加となった。今年16年で33%になり、年2ポイントの増加傾向を示し、折れ線グラフも急角度になってきた。00年では10頭に1頭が近交危険域であったが、16年には3頭に1頭が危険域に達した。
10年前よりグラグはスリム
 さて、05年生まれと15年生まれの頭数分布を見たものが図3である。グラフから05年の釣鐘型が15年ではかなりスリムになり、右側に移行してきた。
 詳細を見ると、05年は血統登録頭数が21万844頭、平均近交係数5.01%、最頻値4.5%、最大近交係数31.8%、6.25%以上の割合16.0%である。15年は同様に血統登録頭数19万877頭、平均近交係数6.02%、最頻値5.6%、最大近交係数32.2%、6.25%以上の割合239.6%である。平均近交係数は5%から6%に上昇し、6.25%以上の割合も2倍の約30%に増えている。
6.25%おじ・めい交配
 図4は出現率の高い近親交配の例である。S@は父と娘の交配である。この交配で生まれた子牛は近交係数25%となる。SAでは父方と母方の祖父が共通祖先の場合である。これはきょうだい交配となる。S@と比べ、父方が1世代さかのぼり、近交係数はその二分の一の12.5%となる。SCのおじ・めい交配ではSAの母方がもう1世代さかのぼり、近交係数はその二分の一の6.25%となる。
 参考までに、このおじ・めい交配は人間では法律上結婚できない近縁となる。人間の場合、近交係数3.125%のいとこ同士で結婚ができる。しかし、これは日本での法律で、いとこ同士の結婚は韓国や中国では禁止となっている。
 図5は、S@〜SDの出現頻度を生年別に表したものである。これを見ると、SCのおじ・めい交配が飛びぬけて高い。と、言っても15年の時点で0.8%、1,500頭程度である。おじ・めい交配で一番多い時で96年の1.98%、3,860頭であった。
 交配の時に、このS@〜Dまでを血統証で確認することは勿論であるが、現在の近交は4代、5代以前の祖先種雄牛を確認しなければならず、その場合、Web血統情報で祖先を調べて近交の計算をするが、計算は複雑であり、人間業ではまず無理である。後段で述べるが、当協会で近交回避のメニューをいくつか用意しているので、是非それを利用していただきたい。

近交が高いと損失大
 近親交配の高まりは血縁が近いものとの交配で起こるわけで、泌乳能力の低下や体格の矮小化、発育や繁殖性の低下、死亡率の増加をもたらす。雌牛の近交による退化量は表のとおりで、乳量で見ると近交係数が1%上昇すると1乳期当たり約28.5kg減少すると考えられる。従って、近交係数6.25%の場合には1乳期当たり約178kg、12.5%では約356kgの乳量が減少する危険性がある。近交係数6.25%、1乳期178kgで乳価100円とすると1万7,800円となり、50頭で年間約90万円の損失となる。
輸入精液は遺伝病注意
 近交係数が高いということは、劣性遺伝子が反映される可能性が高くなる。それは、遺伝病になる確率も高くなるということである。ただし、交配種雄牛が遺伝病の因子を持っていなければ、発症することはない。血統登録証明書や日本ホル協のWeb血統情報では、遺伝病の検査結果を種雄牛ごとに表示して注意を促している。また、国内種雄牛は候補種雄牛に選ばれる際にBLAD、CVM、ブラキスパイナの検査が義務付けられており、これらのキャリアは日本では候補種雄牛に現在は選定されない。ところが、海外種雄牛はキャリアであっても精液が流通され、輸入されているため、交配に注意が必要である。
近交回避のために
 高い近親交配を避けるために、日本ホル協では3つの方法を用意している。一番手っ取り早いものが、Webで確認する方法である。日本ホル協HPのトップページから「家畜改良データバンク」→「近交回避情報」を開く。そこで、調べたい雌牛の登録番号を入力することにより、700頭余の種雄牛との近交係数を確認することができる。種雄牛の遺伝能力が同程度で、近交の差が大きければ、近交係数の低いものを勧める。
 2つ目は審査受検の時に配る「近交回避リスト」である。これは近交係数が5%未満になる種雄牛を表示しているので、安心して利用できる。
 3つ目は「乳用牛群改良交配システム」で、日本ホル協と酪農家(支部・承認団体でも可)との契約のもとに貸与される交配システムソフトと、該当酪農家の近交回避情報や交配種雄牛情報を日本ホル協ら送られるCD(次回からはメール)からパソコンにインストールして利用できる。この利用マニュアルはHPから閲覧やダウンロードができる。
最後に
 高い近交は能力低下や遺伝病になる可能性も高くなる。近交係数は血統登録をしないと計算ができないため、生まれたらまず血統登録をお勧めする。

平成29年01月20日

「生涯乳量」

−都府県28年12−
 28年12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量5万kg以上の高記録牛21頭を示した。今回は上位1頭が総乳量(M)10万kgを突破した。
1位 辻 賀裕さん(岡山県)所有「TK チムリン ビースター ブック」
 生涯乳量トップは、辻賀裕さん(岡山県)所有の「TK チムリン ビースター ブック」(平14.12.17生)の検定回数9回で検定日数3,802日、M10万6,365kg、総乳脂量(F)5,036kg、平均乳脂率(F%)4.7%、総乳蛋白質量(P)3,754kgであった。本牛は、12月20日号で生涯乳量10万kg突破牛として登場し、今回の検定成績証明により更に記録を伸ばした。
2位 藤岡俊策さん(岩手県)所有「ドリームランチ ラッキー バッカイ」
 2位は、藤岡俊策さん(岩手県)所有の「ドリームランチ ラッキー バッカイ」(平19.4.18生)の検定回数7回で検定日数2,286日、M7万8,537kg、F2,765kg、F%3.5%、P2,426kgであった。本牛は、全産次で乳量1万kgを突破する高能力を発揮している。
 3位は、(有)加藤牧場(埼玉県)所有の「ミーンズバンチ ランページ クリーン」(平19.12.12生)の検定回数6回で検定日数2,116日、M7万5,999kg、F3,170kg、F%4.2%、P2,409kgであった。また、10位にも同所有牛が登場し、高成績を収めている。
 前述の牛をはじめ、8位五味英介さん(長野県)、9位佐藤信彦さん(茨城県)、17位真鍋正隆さん(熊本県)所有牛は、審査得点EX(90点以上)を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。


一般社団法人 日本ホルスタイン登録協会
The Holstein Cattle Association of Japan